本屋象の旅

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ブログもはじめます
2022.10.18

お店のオープン、ウェブサイトの開設にあわせて、ブログもはじめてみます。お店のこと、本のこと、気になることや考えていること、まだ固まってはおりませんが、心にうつりゆくよしなしごとを、とりとめもなく書いていければなと思います。

 

誰が読むんだという気持ちはもちろんあります。今の世の中、なにかとやることが多すぎて、とにかく時間がたりません。本を読む時間もなかなか取れませんし、そもそも読むということ自体、少なくなっていると思います。ましてや名も知らない誰かの書いたものなんて、いったい誰が読むんだと。

 

 

岸政彦さんの「断片的なものの社会学」(朝日出版社)という本をご存知でしょうか。社会学者であり、作家でもある岸さんの著作はいずれもおもしろいのですが、私にとってはじめての岸作品となるこの本は、読むたびに人生のほろ苦さを感じさせてくれる、なんとも味わい深い一冊です。

 

この本の中に、「誰にも隠されていないが、誰の目にも触れない」という一節があります。詳しくは本をお読みいただきたいのですが、岸さんは、普通の人々のブログや日記を見ることが好きなのだそうです。そしてそこに描かれる物語や、意味の読み取れない断片的な語りの厖大さに圧倒され、美しさを見いだします。無意味ゆえに美しいのだと。

 

誰が読むんだという気持ちをもちながら、岸さんのような方がいるのかもしれないという心持ちで、私も自身の断片をつづっていきたいと思います。