本屋象の旅

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本屋さんのカウンターから
2022.11.09

こんにちは。11月1日にお店をオープンして、あっという間に1週間あまりがたちました。この間、多くのお客さまにご来店いただき、たくさんの本を買っていただきました。本屋として、無事にスタートすることができたこと、まずは深く感謝し、つつしんでお礼申し上げます。

 

お祝いの言葉をいただいたり、近くに本屋ができてうれしいと喜んでいただいたり、お花やお祝いの品を頂戴したり。ひとりでは受けとめきれないほどの皆さまのお気持ち、ほんとうにありがたい思いでいっぱいです。

 

お店を開いてみて、いろいろと感じることはあるのですが、どれもあたりまえのことを実感、再確認しているに過ぎません。

 

ひとりでは何もできないこと。でも最後には自分がやらないと何もはじまらないこと。お店に来てくださるだけでありがたいこと。あいさつやことばを交わすのは気分がいいこと。ねぎらいや感謝のことばをかけてくださると、やっぱりうれしいこと。そして、いろいろな方が暮らしているのだなということ。

 

今の時代に、この場所で、小さなお店で、本屋を。

 

どのフレーズも、大丈夫?が続きます。とくに地元に長くお住まいの方々が、とても心配してくださいます。大丈夫かどうかはともかく、応援のお気持ちも、多くのお客さまから強く感じております。せっかくお店を出したのだから頑張りなさいよ、という、口に出さずとも内に秘めておられるであろう購入。お金とお気持ちを一緒に受けとっております。

 

「応援消費」ということばもありますが、それはほとんどの場合、不便さを伴います。応援に価値を見いだせなければ、そもそも便利であることを価値観の上位に置いていれば、わざわざ不便を伴うお店での買いものをすることもないでしょう。

 

一度お店にお越しいただければ、あるもの、よりもないものが多いことがすぐにわかります。これはありますかという質問に、すいません置いておりませんと、もうすでに何度もお答えしております。もちろんお取り寄せもいたしますが、今日明日でお届けすることはまずできません。

 

便利になった時代に、不便を強いるということ。このことに何か意味があるのかどうか、明確な答えは見いだせておりません。

 

ただ、お店で楽しそうに絵本をめくるお子さまの瞳に、長い時間をかけてじっくりと棚を眺めるお客さまの立ち姿に、何か答えのようなものがあるのかもしれません。お店を開けながら、これからもゆっくりと考えていきたいと思います。